遺跡概要

尻労安部洞窟の位置
海上保安庁水路部測量第6372号3海底地形図を改変

尻労安部洞窟は、日本有数の石灰岩地帯として知られる下北半島北東部、尻屋崎から5kmほど南に当たる桑畑山の南麓に位置します。標高33m前後、太平洋に面する海岸段丘にも接する地点にある当洞窟は、今日では間口3.3m、奥行き2.5m、岩庇高2.0mの岩陰状を呈しています。

本洞窟に近接する石灰岩採掘坑からは、ナウマンゾウやヤベオオツノジカなどの化石が多数発見されたと聞きます。また、周辺には旧石器時代の遺跡として、ナイフ形石器の伴う物見台(一)遺跡、細石刃の伴う中野(一)遺跡も知られています。旧石器と動物化石の双方から更新世人類の狩猟活動や動物資源利用を多角的に研究し得る地域であるだけに、本洞窟の発掘成果は多くの研究者の注目を集めています。